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さよなら…[DIC川村記念美術館]

足をのばせば

こんにちは、R-LABELです。

以前こちらのblogでご紹介した佐倉市の[DHC川村記念美術館]が、2025年3月31日をもって閉館となりました。
昨年の8月末に発表された時点では1月下旬からだった休館予定が2ヵ月延びたものの、佐倉市での存続は叶わず、一部の作品を東京・六本木の国際文化会館に移転し、2030年建設予定の新たな展示施設を共同で運営することとなったそうです。

移転する一部の作品の中にはマーク・ロスコのシーグラム壁画も含まれてました。
どこかの遠い国に売られてしまったら永遠のお別れになるところだったけど、六本木ならまた会えると少しホッとしたものの
シーグラム壁画のために作られたロスコルームや、自然に包まれて別世界に誘われるような美術館へのアプローチ、すべて含めて私のパワースポットだったのに、本当に残念でなりません。

閉館の5日程前に、最後のコレクション展に行ってきました。
タイトルは「DIC川村記念美術館 1990-2025 作品、建築、自然」。
やっぱり、あらためて素晴らしい美術館でした。

今まで展示作品を鑑賞する意識しかなくて、建築自体をじっくり見ることはなかったのですが
今回用意された館内マップには、エントランスや廊下、各展示室の特徴や設計の意図についての解説が載っていて、初めて天井や床や窓の外をじっくり眺めながら回りました。

例えば[201室]についての解説。


――第二次世界大戦後に美術の中心はヨーロッパからアメリカに移りました。フランク・ステラなど、大型化する戦後アメリカ美術作品のダイナミックなエネルギーを受け止めることの出来る、大きな壁面と体育館のように広い空間が特徴です。トップライトが設けられ、二度屈折した外光が展示室に入ります。――

天井を見上げると、スリットのように切り込まれた傾斜のある部分が等間隔に並んでいて、窓は見えないけどそのくぼんだ天井面が外光を反射し、広い展示室に自然の光を取り込んでいました。

色彩をありのままに見せるには光は最も大事な要素ですから、美術館の建物自体に外光を入れる設計がされているというのは当たり前かもしれませんが、建物先行で後付けしてる場合も多いかと思います。
ロスコルームに関しても、照明の位置や照度、床の色など制作時のロスコのアトリエを参照してしつらえたそうです。
作品のために造られた建物は、主役を失いこれからどうなってしまうんだろう?

お昼がまだだったので、再入場券をもらって自然散策路へ。

広々とした芝生広場の前のテラスは、平日なのに空席がないほどの賑わい。
ちょうど席を立った人がいて、木陰のベンチに滑り込みました。
自販機のコーヒーと途中で買ったサンドイッチを食べながら、新緑と散策する人、水路に白鳥⁈ …こういう時間ていいよなー、なんてぼーっと眺めてしばし休憩。

ちなみに白鳥は美術館前の池に住んでいます。でも散策路の方まで来ちゃって人間近いけど、怖くないのかな。

池ごしに美術館が見える藤棚からの、最後の撮影。

そして最後の一周のためにオーディオガイドを起動すると、リストの最後にラヴェルの「妖精の庭園」という曲が入っていました。
風景に溶け込むようなピアノの旋律。。
美術館に戻ります。

オーディオガイドと共に2週目、先ほど時間制限のあったロスコルームにもゆっくり立ち寄れました。
六本木で会えることを願いつつ、パワーチャージする感じで。
スケールの大きな現代作品の展示は、それを眺める人が作品の一部のようにも見えます。
近づいたり離れたり、いろんな角度から見て、何か感じたり考えたりして。

企画展の出口に、最後のメッセージがありました。
メモしたので原文をお借りして記載します。

―― DHC川村記念美術館では作品と見る人との出会いを大切に、作品が発する言葉を解説という形で代弁するのではなく、作品自体に語らせる展示を心掛けてきました。これにより、美術作品の表現する人間の感情や感覚、あるいは思考や意思により応答しようとするあなたの内なる声を先回りせずに、表出させることのできる余白を残すと考えてきたからです。
そして何より、あなた自身が自分の発した内なる声を聞きとる場となることを願ってきました。思えばこのような自由で成熟した場を目指して、34年もの間活動できたことは奇跡に近いかもしれません。
美術や美術館は多様であり、答えはひとつではありませんが、この作品、この建築、この自然の中で思いを巡らせた時間が、あなた自身について知るきっかけや救いとなったならば、これ以上のよろこびはありません。訪れてくださったあなたと、このDHC川村記念美術館を分かち合えたことに意味があったことを願っています。――

涙でそう。
作品との出会い、建築、自然。伝わりました。DHC川村記念美術館で過ごす時間を分かち合えたことに感謝します。

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